こんにちは。中村佳太です。
2022年もよろしくお願いします。
さて、今回は『ナカムラケイタのお悩み相談室』の第2回です。
お悩みは常に募集中ですので、これを読んだ方で「自分も相談してみよう」と思った方は、「お便りフォーム」からお寄せください。お待ちしています。
では、今回のお悩みを紹介します。
お答え頂きたい悩みは、事業の展開についてです。私は、高齢者障害者専門の訪問歯科を営んでいます。需要は増える一方で、ありがたいことに売上・従業員数ともに右肩上がりです。嬉しいことではあるのですが、どこまで成長を目指すべきか悩んでいます。開業当初は夫婦+パート数名で週休3日くらいでのんびりやる予定でしたが、想定以上のご依頼を頂き気が付けばスタッフの数もどんどん増えていきました。近々拠点も増えて従業員数20名ほどになります。
売上/規模の拡大を楽しんでいる自分もいますが、広げた風呂敷を畳む大変さも感じてます。これまで漠然と地域の要望に応えてきましたが、このタイミングで一区切りのゴールを定めたいと考えています。
ナカムラ様は、強い信念とこだわりのもと、現状の大山崎コーヒーロースターズを営まれているようにお見受けします。どのような経緯で、ご自身でどんなルールや判断基準を定めているか、などお考えが聞けると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
(いおり/三重県)
※内容に影響のない範囲で一部文章を改変しています
お仕事の依頼が増え続けるということは、誠実にお仕事に取り組まれ、多くの方に喜ばれている証拠だと思います。しかも、とても公益性の高い事業をされているので、たくさんの方がいおりさんたちのお仕事に助けられていらっしゃることと思います。本当に素晴らしいです。
ただ、ご本人としては元々は「のんびりやる予定」だったので、想定以上に事業が大きくなったことに戸惑いと大変さも感じていらっしゃるとのこと。
「どこまで拡大すべきか?」という悩みは、実は多くの経営者が抱えている悩みではないかと僕は思っています。「誠実に仕事をしたい」と考えるときには、とくに悩ましい問題です。
ご要望いただいたので大山崎 COFFEE ROASTERS(僕がパートナーと共同運営しているコーヒー焙煎所)のことについてお答えすると、僕たちには創業時から決めていることがあって、それは次の3つです。
「従業員は雇わず、ふたりでできる範囲で事業を行う」
「ふたりが暮らしていける規模になったらそれ以上の拡大は目指さない」
「毎日の暮らしを何よりも大切にする」
これは、「自分たちはどのような暮らしを実現したいのか?」「そのためにはどんなスタイルで事業を行う必要があるか?」という問いから考え、決まっていったものです。
この問いへの答えは人それぞれ違うと思いますが、僕たちには上の3つの答えが自然と生まれました。そして、この決め事があることは、僕たちが事業を行う上で悩むことが少ない大きな要因になっていると感じます。
一度決めたことを守りぬく必要なんてとくにないわけですが、それでもこれらを変えたいと思わないということは、きっと僕たちにはこの決め事が性に合っているのだろうと思います。
◇
「自分たちはどのような暮らしを実現したいのか?」との問いから出発していることからお分かりいただけると思いますが、僕たちは「コーヒーの仕事」よりも「暮らし」を優先させることを前提としています。これはおそらく、誰にとっても当てはまる当たり前の前提ではないでしょう。「仕事を優先させたい」と考える人もいると思います。
ただ、いおりさんの相談文を読む限り「このままでいいのか」との不安を感じとれるので、おそらく「自分たちの暮らし」のことをもう少ししっかり見つめたいと感じていらっしゃるのかなと想像しました。ただ、やはり依頼が来るのは嬉しいし、できれば仕事を断るようなことはしたくない。難しいです。。
◇
業界も職種も大分違うので、どの程度参考になるかは分かりませんが、僕たちの話をします。
僕たちも「できるだけたくさんの人に良いコーヒーを飲んで欲しい」という思いはあります。なので、できる限り仕事をお受けしたいという気持ちはある。でも、自分たちが忙しすぎると感じたり、人を雇わないと対応できないような場合には悩まずお断りしています。そんなときはやはり心苦しいのですが、仕方がない。僕たちはこんな風に考えることにしています。
「僕たちが仕事を受けない代わりに、誰かがその仕事でチャンスを得るかもしれない。そして、その”誰か”が増えるために日ごろからできることをやっていこう」
◇
たとえば、以前は焙煎のワークショップを行っていて、焙煎の技術に関しても、コーヒー焙煎所を運営するうえで必要な知識などについても、経験を含めて包み隠さずお伝えしていました。いまはワークショップはやめてしまったのですが、お店で相談を受ければ何でもお答えしています。企業秘密のようなものを一切ありません。
それは、それを受け取った人がコーヒーの世界に入り「できるだけたくさんの人に良いコーヒーを飲んで欲しい」という僕たちの思いを実現する一員になってくれたら良いなというそこはかとない希望をもって行っている行為でもあったりします。
実際、焙煎ワークショップを受けた方やお店で相談を受けた方のうち、複数名の方が現在ご自身の焙煎所を構え事業を営まれています。そのことを僕たちはとても嬉しく思っています。
僕たち自身が規模の拡大を目指さなくても、誰かを後押しすることで需要や要望が満たされる世界になったらいいな、とそんな風に考えています。
いおりさんたちが気持ちの良いと感じる暮らしと、それに合うちょうど良い規模感での事業を構築されることを願っています。
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※とくに今は「お悩み」を募集中です。
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