こんにちは。中村佳太です。
今回も前回の配信に続き、特別編。
IWAKAN6号掲載の記事『コーヒーは男のもの?ー「コーヒーと男性性」を巡る鼎談』のため、しば田ゆきさん(オトナリ珈琲)とまこさん(MÖWE COFFEE ROASTERS)と僕の3名でおこなった鼎談の中で、紙幅の関係で未掲載となった原稿を公開します。
前回の『競技会と「男性性」』につづき、今回のテーマは『コーヒー業界と性的マイノリティ』です。
どうぞお楽しみください。
※IWAKAN編集部、および、しば田さんとまこさんの承諾を得て配信しています。
コーヒー業界と性的マイノリティ
中村:まこさんはトランスジェンダーのバリスタの方と「コーヒー×LGBTQ+」をテーマにポッドキャストを配信するなど、コーヒー業界における性的マイノリティの問題について発信されていますよね。
まこ:はい。私がXジェンダーを公言してコーヒーの活動をしているのは、そうしないと業界内に性的マイノリティは「存在しないもの」になってしまうと感じるからです。業界に自分のような存在がいることを分かってもらいたい。業界内でも外資の会社などだとレインボープライドを支援していたりもしますが、働いているひとりひとりを見ると意識はまだ低いと感じることが多いです。知り合いにゲイをカミングアウトして働いている人がいるのですが、ある人がその人のセクシュアリティを本人の許可なく他人に言ってしまったというような問題もありました。しっかりと知識があったり、性的マイノリティを身近に感じている人は業界内には少ないと感じます。私自身、組織で働いていたときには自身のセクシュアリティについて誰にも言えなくてモヤモヤを抱えながら働いていました。会社としてジェンダー平等や性的マイノリティに関する研修などをしてくれたら、ひとりひとりの理解が深まったり、当事者意識が生まれたりするのではないかと思います。
しば田:以前働いていたカフェの店長がトランス男性だったのですが、その方は周りに積極的に自身のセクシュアリティについて説明していました。それもあってか、周りの人のジェンダーに関する意識は高い環境だったように思います。私は、性的マイノリティに限らず様々なマイノリティにまつわる問題を全て学ぶのは難しいと思っています。たとえば私は目の見えない人の困難も勉強できていない。だから、やはりひとりひとりの関係性の中で「『隣の人』が困っているときに学んでいくこと」が大切なのかなと考えているんです。
まこ:私は当事者のひとりですけど、私もマイノリティの困難や要望が全て分かっているわけではないです。当事者として思うのは、全ての細かいことまで理解してもらいたいとか、全ての要望に対応してほしいと思っているわけでは無くて、性的マイノリティに限らずひとりひとりの人間が偏見を持たずにコミュニケーションを取れるようになったらいいなということです。
中村:僕はシスヘテロ男性ですし、その他の様々な点においてもマジョリティです。そんな立場で僕はジェンダーに限らず人権や差別の問題に関心があって勉強を続けているのですが、「今日学ぶことがある」ということは「昨日までは知らなかった」ということで、それはつまり「昨日まで差別していたかもしれないし、今も差別をしているかもしれない」ということなんですよね。そういう点ではコーヒー屋に限らず「店をやる」ってすごく気づかされることが多いと感じています。たとえば何年か前、うちのお店のトイレのマークが「男女マーク」であることにパートナーが気が付いて、すぐにレインボーマークを付けたんです。これって、僕たちはお店として「差別をしたくない」と宣言することだと思っています。あとは、「車椅子を利用している方が段差で不便そうだった」とか、お店って多様な人が来店するので気づけることが多いんです。世の中には残念ながら差別がたくさんあるので、少なくともうちの店は「差別をしたくない店」だと宣言することは、誰かの安心に繋がっているかもしれないと思っています。小さな店だし、全ては無理だけど、できることはやっていきたいというのが僕たちの想いなんです。
まこ:お店としてそういった意思表示をしてくれると安心できます。うちのお店でも店頭のA看板にレインボーカラーをペイントしているのですが、それもあってか様々なジェンダーの方が来てくれるんです。
この記事の本文は『IWAKAN』6号で読めます(↓に少しだけお見せします)。
素晴らしい記事が満載の『IWAKAN』6号なので、ぜひ買って読んでくださいね。
(大山崎 COFFEE ROASTERSのオンラインショップや店頭でも販売してます)
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