さぁて、ついに始まりました!
『ナカムラケイタのお悩み相談室』です。
先日『お悩み相談、はじめました。』を配信したあと、ありがたいことにすぐにいくつかのお悩みが寄せられました。お便りがなければ成立しないのがお悩み相談です。送ってくださったみなさま、ありがとうございます。
お悩みは常に募集中です。これを読んだ方で、「自分も相談してみよう」と思った方は、「お便りフォーム」からお寄せください。お待ちしています。
ではさっそく、今回のお悩みを紹介します。
僕は今24歳です。若者らしい「良い車に乗りたい」とか、「モテたい」とかがあまり湧いてきません。一方で、「必要なモノだけで、質素に幸せに暮らしたい」という欲のない人間です。このまま強い上昇志向がなく生きてしまうと、何も成し遂げられないような気がします。このぼんやりした不安はどうしたら解消できますか?
(たつやのやきとり/東京)
「欲がない」「上昇志向がない」だなんて素晴らしいではないですか!
「良い車に乗りたいと思わない」とのことですが、自動車は二酸化炭素を排出し、地球温暖化の大きな要因となっています。電気自動車に乗るにしたってその製造工程においてたくさんの二酸化炭素を出すことが知られていますし、電気を作る過程でも現時点ではやっぱり二酸化炭素が出てしまいます。たつやのやきとりさんが良い車に乗りたいと思わないこと、必要以上にモノを欲しないことは、環境に良い影響をもたらします。素晴らしいことです。
あと、「モテたい」とか「経済的に成功したい」といった欲望は、しばしば争いの元になります。そういった欲望を原動力とする競争社会は、ストレスが多く、人々が疲弊しやすい社会です。かなりの飛躍であることを承知でいうなら、そういった欲望が社会的・国家的に蓄積・増幅した結果が戦争につながるといってもいいのではないでしょうか。
つまり、「欲」とか「上昇志向」なんてものは、強すぎるとロクな結果を生まないんです。そういったものを元々あまり持たないたつやのやきとりさんは、そんな自分を誇るべきです。そのことをまずはお伝えしたいです。
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もうひとつ、別の観点からの話になりますが、相談文を読んで気になったことがあります。それは、「若者らしい」や「何も成し遂げられない」といった言葉です。
「若者らしさ」って何でしょう?それって誰が決めたのでしょう?
「成し遂げる」って何でしょう?何かを成し遂げたって、誰が決めるのでしょう?
若者は千差万別です。ひとりひとりが違う価値観や望みをもって生きています。
「若者は良い車に乗りたいものだ」とか、「若者はモテたいものだ」といったイメージは、現代社会が構築したステレオタイプな価値観でしかありません。たつやのやきとりさんは、そういったステレオタイプな価値観と自分の感覚とのズレに悩んでいるように感じました。
たつやのやきとりさんの本当の悩み、「ぼんやりした不安」の正体は、「上昇志向がなく何も成し遂げられないこと」にではなく、「社会と自分とのズレ」の方にあるのではないかと感じましたが、いかがでしょうか?
そうだとするなら、僕からのアドバイスはひとつです。
ズレている自分を認め、「必要なモノだけで、質素に幸せに暮らしたい」という自分の想いに正直に生きる方法を探すことです。
◇
方法はひとつではありません。実は僕もたつやのやきとりさんと近い価値観を持った人間ですが、たとえば僕自身は、東京から京都の自然が残る小さな町に移り住み、小さな商売をはじめることで、生活コストを下げ、時間と心にゆとりのある生活を構築しました。
他には、以前話を聞かせていただいた高齢の大学の先生は、「とにかく毎日本を読んで生きていきたかったから、大学の先生になった」と話していました。もちろん、その立場を得るには努力や才能が必要だったと思いますが、少なくとも、上昇志向的ではない生き方を実現したひとつの例だと思います。(最近の大学教員は雑務も多く、忙しすぎるという話を聞きますが、当時はだいぶ余裕があったようです)
僕の例にしても、その大学の先生の例にしても、上昇志向がステレオタイプとなっている現代社会で、上昇志向的でない生き方を構築することはそんなに簡単ではないかもしれません。でも、「社会と自分とのズレ」に「ぼんやりした不安」を抱え続けながら生きるよりは、自分にあった生き方を模索する方が楽しいし、取り組みがいがあるのではないでしょうか。
社会とズレているご自身の感性をどうか大切に生きてください。
たつやのやきとりさんが自分に合った暮らし方を発見できることを願っています。
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