こんにちは。中村佳太です。
日本でもニュースレターブームがはじまったのか、単に自分がニュースレターをはじめたからなのか、近ごろニュースレター関連の情報がこれまでより眼に入ってくるようになりました。
著名人をはじめとして少しずつ「ニュースレターはじめました」という文言を見かけるようになり、僕も日頃から興味を持っている人がはじめるとすぐに登録して、届くのを楽しみに待っています。
また最近のニュースレター関連のニュースと言えば、Twitterによるニュースレター配信プラットフォーム『Revue』の買収があげられます。そもそもクローズドなニュースレターとオープンなTwitterは相互補完性が高く相性が良いので、RevueがTwitterに統合されるのはとても興味深い流れだなと思います。
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さて、今回はニュースレターのことを書きたいわけではなくて、Revueの画面を眺めていたときに気づいたことについて書こうと思います。
Revueで配信されていたあるニュースレターのトップページを見ると、そこには現在の登録者数(SUBSCRIBERS)がババンと表示されていました。これは僕が使用している『Substack』(このエッセイを配信しているプラットフォーム)とは大きく仕様が異なる点です。(Revueでは登録者数を非表示に設定することもできるようですが、どうも多くの書き手が表示させる設定を選んでいるようです)
僕はSubstackのこの「登録者数が書き手本人以外には分からない」という点が気に入っています。気に入っているというのは、書き手側としてもそうなのですが、主に読み手側として気に入っているという意味です。あるニュースレターに登録するかどうかを決めるときに「すでに何人の登録者がいるか」という情報は僕にとってはノイズであり、知りたくない情報です。というのも、「多くの人が登録している」という情報はどうしたって「みんな読んでるんだぞ!おまえも読んだ方がいいぞ!」という変なプレッシャーに変換されてしまう。そのプレッシャーが苦手なんです。そういった周りからのプレッシャー(勝手に感じているだけではあるのですが)で判断したくない。書き手によるニュースレターへの想いを読み、過去の記事も読んだりして、自分で「面白そう!」と感じるかどうかを大切にしたいのです。
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Substackは意識的に登録者数を表示しない仕様にしているのだと僕は思っています。というのも、僕がいつも刺激をもらっているニュースレター『Lobsterr Letter』で、以前、Substack共同創業者のハミシュ・マッキンジーの記事が紹介されていて、その中に次のような記述がありました。
Substackが提供するのは「内省を促す穏やかな場所」であり、大声で叫んでエンゲージメントを稼ぎ、社会に悪影響を与えるようなメディアビジネスではなく、書き手と読み手が信頼で結ばれるような世界をつくろうとしている。
[Lobsterr Letter vol.98より]
ひとりの書き手とひとりの読み手が信頼で結ばれるためには「すでに何人の登録者がいるか」という情報はノイズになる、僕はそう思います。
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現代のネット社会においては「自分で選ぶ」ことが本当に難しくなっています。
映画、書籍、飲食店、家電、そして一人の人間に至るまで、あらゆるものが「☆」の数やフォロワー数で評価され、はたまたコメント欄ではリスクも責任も負わない匿名の人々がその善し悪しについて言葉を残し、そのコメントがときに大きな影響力を持ちます。あるいは、AIが過去の自分の履歴データや「自分に傾向が似た人」のデータからおすすめを選んで表示してくれます。頼んでもいないのに。(でも、悔しいかなそれが実際に自分の好みに合っているから困ってしまう。。)
いま私たちは、「多くの人の評価」や「AIのおすすめ」に全く影響を受けずに何かを選択することはほとんど不可能な状況にあります。だからこそ、「自分で選ぶ」ことに意識的でありたい。
本屋さんで棚をじっくり眺めること(平積みの量や「ベストセラー」という言葉に惑わされないことが大切!)、アルゴリズムによって自分向けに表示されるネットニュースではなく紙の新聞を隅々まで読むこと、そういった習慣を大切にしたい。そして、書き手と読み手が信頼にもとづいて関係を結ぶニュースレターは、登録者数を見ずに選びたい。僕はそう思うのです。
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ご最もです(日本語が正しいか?笑)
ちょうど昨日も友達とこの話をしていました。去年からApple Musicのお勧めにAlgorithmの逆効果に気づき、もっと前に毎日使っていたKCRW、Pitchfork、Bandcampのようなもっと自由に音楽を楽しめるAppに戻ったりしています。
テクノロジーには感謝しています。ただ、一人の人間として、自分も含める人間とぶつかる経験を通して、成長していきたいです。このプロセスには、どんなテクノロジーやトールなど、どう使うのも、世間の流れではなく、自分で選んで、試して、決めたいです〜
いくらAIが進んでも、自分自身を失うと意味がないですね。せっかく感情性の強い生き物に生まれたから、生物的な進化にも、自分で選ぶ勇気、根性が必要でしょう笑